2016/8/29特集

『地震保険』の必要性と目的島野由香里


地震保険 家 クローバー

『人は実感したものを信用する』

豊富な知識と行動力から、「コンピュータ付きブルドーザー」と呼ばれた元主相、

田中角栄氏の言葉です。

 

日中国交正常化や、道路交通法の全面改正など、様々な実績をもつ氏。

その氏の実績のひとつ、それが『地震保険』です。

 

今から半世紀前の1964年、新潟で大地震が発生しました。

建物の全半壊が8,600棟、津波と液状化による家屋浸水が15,298棟。

被害建物の数に注目が集まりました。

 

当時の大蔵大臣であった田中角栄氏は、新潟の生まれ。

自身の故郷の凄惨たる状況を目の当たりにした氏は訴えます。

「地震保険が必要だ!」。

 

「地震保険に関する法律」が制定された1966年から現在まで、

東日本大震災を始め、阪神淡路大震災や熊本地震など、

幾つもの大震災が日本を襲ってきました。

 

当コラムでも、耐震や地盤など、

地震に関する記事をいろいろ掲載してきましたが、

その中の「地震保険」について、近年発生した地震事例を基に、

数回に分けてもう少し深く検証していきます。

 

1回目となる今回は、地震保険の概要として、

地震保険の「必要性」と「目的」を取り上げます。

 

◎地震保険の必要性

復興庁の発表によると、

2016年7月14日現在の東日本大震災の避難者数は、14万7772人。

地震発生から5年半が経つ今なお、自身の家を持てず、

仮設住宅や知人宅などで、生活を送っています。

 

住む家を失ってしまったら、地震保険以外に、

生活を支えてくれるものはあるのでしょうか。

 

3つの「助け」

被災時の生活を支えるものとして、

大きく分けて、3つの「助け」があります。

それは、自助・公助・共助という考え方で捉え、 

金銭の面に関して言えば、地震保険も含め、下記のようになります。

 

自助個人の備え

  貯蓄や地震保険など。

 

公助国の支援制度

  被災者生活再建支援法による国からの支援金。

  家を失った人々に対し、国が最高300万円の給付を行う制度。

 

共助義援金

  内閣府の発表によると、東日本大震災において、

  日本赤十字社等に寄せられた額は、約3,796億円。(2016年7/末現在)

 

上記のように、自助(個人の備え)だけでなく、こうした公助や共助もまた、

大きな支えとなります。

しかし、公助と共助には、いくつか知っておくべきことがあります。

 

公助と共助について

①公助=国の支援制度

 認定  

被災者生活再建支援法による給付制度があります。

支給を受ける為には、

「大規模半壊」以上の被害認定を受ける必要があります。

例えば「大規模半壊」に認定された場合、

基礎支援金50万円+加算支援金が最高100万円で、

合計150万円が支給されます。

ところが、「半壊」と認定されると、支給額は0円です。

 時間

上記の認定で納得できない場合、二次調査を依頼することができます。

ところが、結果が出るまでにかなりの時間がかかることがあります。

過去の例では、被害が認定されるまでに、10ヶ月を要したこともあり、

周囲の復旧度合から取り残されてしまう世帯も少なくありません。

 

東日本大震災では、津波による被害が大部分であった為、

航空写真を用いた地域の一斉認定が行われました。

その結果、認定、時間ともに、被災者の負担軽減につながりました。

 

一方で、今年4月に発生した熊本地震では、

地震による家屋倒壊や傾斜が主だった為、家屋1軒1軒を調査。

結果として、認定や時間に問題を残し、

制度としての有効性を問われる声が多く取り上げられました。

  

②共助=義援金

義援金は、生活再建の為に間違いなく大きな役割を果たすものです。

しかし、被災者の数が多ければ多いほど、その配分は少なくなることはもちろん、

その配分のスピードにも遅れが出てきます。

 

首都直下型地震が起きた場合 

公助共助の特徴はご理解いただけましたか?

次に、例として、首都直下型地震が起きた場合を考えてみます。

 

被害予測 表

※内閣府ホームページより出典

 

上記は、熊本地震と同じM7規模の首都圏直下型地震が起きた際の被害予測です。

建物の被害予測数は、熊本地震の約9倍にも上ります。

 

支援金や義援金を受け取れるまでの時間や、金額はどうなるのでしょうか。

 

 公助・共助は、そもそもが自助の上乗せとして考えられるもので、

災害規模や地域によって、平等な役割を果たせるものではないのです。

 

首都圏直下型地震に限らず、各地で大きな地震は予想されています。

こういった考え方からも、

自助「地震保険」が必要となってくるのではないでしょうか。

 

◎地震保険の目的

「地震保険なんて大して支払われない」

地震保険を考える上で、多くの方が耳にされる言葉かと思います。

ここでは詳しく説明しませんが、他の損害保険に比べ、

認定方法や支払金額などに制限が多いことが実状です。

 

しかし、その根底には、保険としての目的に違いがあります。

 

火災保険を始め、他の損害保険が目的とすることは、

「被災(害)者の生活水準を、事故発生前に戻すこと」

一方、地震保険の目的は、

「被災者の生活の安定に寄与することなのです。

 

保険の原点には、「一人は万人の為に、万人は一人の為に」という

「公益性」というものがあります。

とりわけ地震保険は、民間保険会社と国が、共同で運営する保険制度です。

 

保険が提供すべき助け合いの精神を、最も実現できるものが、

地震保険なのかもしれません。

 

◎まとめ

冒頭の「人は実感したものを信用する」という氏の言葉は、

確かに当然のように受け取れます。

 

しかし、この言葉の裏を返せば、

「人は実感をしなければ信用しない」ということであり、

ことさら地震保険に関して言えば、

「実感したころには遅い」と言えるかもしれません。

 

9月1日は、防災の日。

地震に対する備えを再検討されている方も多いと思います。

 

今回は、地震保険の概要を取り上げましたが、

次回のコラムでは、

地震保険の詳細や、有効な活用方法などをご紹介する予定ですので、

是非、ご参考にして下さい。

 

 

埼玉の不動産 ハウス壱番館の島野でした^^